閉塞性睡眠時無呼吸
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- STEP 1受診・装置貸出
- まずご来院いただき、院長または専門スタッフが、あなたの睡眠の悩みや既往歴を詳しくお伺いします。
その上で、検査装置(WatchPat 300など)の仕組みや正しい装着方法について、丁寧にご説明いたします。
検査に必要な全ての機器(腕時計型本体、センサー類、説明書など)一式を、ご自宅にお持ち帰りいただけるようお渡しします。
この際、ご質問や不安な点がないよう、確認を徹底いたします。
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- STEP 2自宅で装着
- 検査は、ご自宅で普段通りにお休みいただく直前に行います。
煩わしい鼻カニューレ(チューブ)は不要で、主に手首に腕時計型の本体を、指先や胸に小型のセンサーを装着するだけです。
電源を⼊れて開始すると本体の表⽰は⾃動的に消灯します。
装置を装着したまま、いつもお使いの寝室で、普段通りにお休みください。
リラックスした状態でのデータこそが、最も正確な診断につながります。
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- STEP 3装置返却
- 翌朝、目覚めたらご自身で装置を取り外していただきます。
検査終了後は本体の電源は⾃動的に切れるので操作は不要です。
記録が完了した装置は、当院にご返却ください。
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- STEP 4結果分析・説明
- ご返却いただいた装置からデータを抽出し、詳細に解析します。
AHI(無呼吸・低呼吸指数)の算出はもちろん、睡眠時の姿勢や、無呼吸のタイプなど、治療方針決定に必要な全ての情報を集約します。
検査結果は、院長がわかりやすくご説明いたします。
数値の意味、現在の重症度(軽症・中等症・重症)、そしてそれが全身の健康に及ぼす影響について、専門用語を避けながら丁寧にお話しします。
また、診断結果に基づき、最適な治療方針をご提案します。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠中に一時的に呼吸が弱くなったり、呼吸が停止する現象を繰り返す病態です。
これは主に、喉の奥にある気道が狭くなることが原因で発生します。
単なる「いびき」として見過ごされがちですが、日中の眠気だけでなく、様々な全身の病気に影響していることがわかっています。
閉塞性睡眠時無呼吸の現状:深刻な広がり
睡眠時無呼吸症は、全世界で10億人以上が罹患している、深刻で広範な疾患です。
そのうちの80%は未治療のままであると言われています。
日本国内でも、中等症以上の睡眠時無呼吸患者数は900万人以上と推定され、そのうち適切な治療を受けている方は68万人との調査があります。
軽症を含めると2,200万人とも推定されています。
そして、この疾患は以下のような深刻な健康問題と関連しています。
高血圧
心臓病や不整脈
糖尿病
心不全
自動車事故
労働災害
脳卒中
軽症から中等症までは、歯科で作製するマウスピース治療によってリスクを軽減することができます。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のおもな症状とサイン
最も一般的な症状はいびきです。その多くは睡眠パートナーからの相談で気づかれます。
日中の症状としては眠気が代表的で、テレビを見たり、運転中やバスや電車で座っているだけでも簡単に眠くなることがあります。
その他、睡眠時無呼吸にはこんな症状も…
日中の症状
集中力の低下
物忘れが多くなる
倦怠感
抑うつ的な気分になる
夜間の頻尿
身体的・精神的な症状
朝の頭痛
体重が増える
高血圧
性欲の低下
寝汗
閉塞性睡眠時無呼吸のメカニズムと原因
呼吸状態の変化
閉塞性睡眠時無呼吸は、おもに空気の通り道である気道が狭くなることによって発生します。
![]() 正常呼吸 気道がしっかり確保されている状態 |
![]() 低呼吸(いびきの発生) 気道が狭くなった状態。 |
![]() 無呼吸(気道の閉塞) 気道が閉塞した状態。 |
気道の狭窄を引き起こしやすい要因
原因は一つとは限らず、いくつかの要因が複合的に関係している場合もあります。
仰向けで寝ることが多く、あごが落ちやすい方
肥満の方
もともと顎が小さい方
上あごや下あごに大きな骨の膨らみがある方
扁桃やアデノイドの肥大がある方
舌が大きい方
加齢に伴い筋力が低下している方
睡眠薬を常用している方
歯列矯正により歯並びが小さくなっている方
閉塞性睡眠時無呼吸を治療しないとどうなる?〜身体への負担〜
睡眠時無呼吸は、気づいていない方や単なる「いびき」と考えて治療を受けていない方が多くいらっしゃいます。
適切な治療をせずに放置すると、身体的な負担が蓄積し、様々な健康問題や交通事故、労働災害などの社会問題を引き起こす可能性があります。
睡眠時無呼吸と関連性が強い疾患
| 疾患 | 分類 | 具体的な疾患と関連性の理由 |
|---|---|---|
生活習慣病・成人病 |
高血圧、糖尿病、脂質異常症。 |
長期的で間欠的な睡眠時の低酸素状態が自律神経やホルモンバランスに悪影響を及ぼします。 |
循環器系の疾患 |
不整脈、心筋梗塞、脳卒中。 |
心臓や血管に大きな負担がかかります。 |
精神・神経系の疾患 |
認知症、集中力・記憶力低下、うつ傾向。 |
慢性的な睡眠不足や低酸素状態が悪影響を与えます。 |
高輪歯科が提供する診断と治療:オーラルスリープドック™(睡眠呼吸評価)
高輪歯科のオーラルスリープドック™の睡眠呼吸評価では、まずご自宅で実施可能な検査装置でスクリーニングを行います。
この検査では、指や胸にセンサーを装着し、睡眠中の呼吸パターンや血中酸素飽和度、いびき、姿勢などを記録します。
睡眠呼吸評価の結果と治療の判定
睡眠呼吸評価装置によって得られるAHI(無呼吸・低呼吸指数)をもとに、総合的に重症度を判定します。
当院では、気道計測機能搭載CT機を導入しています。
分析の結果、気道が狭い方には快眠のためにマウスピース型口腔内装置をおすすめしています。
精密検査が必要な場合:終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)との連携
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)とは、睡眠専門医療機関に1泊入院して行う精密検査で、脳波、心電図、筋電図、眼球運動、呼吸状態、血中酸素飽和度など、より多くの生体情報を詳細に記録・分析します。
睡眠呼吸評価検査の結果、さらに精密検査が必要と判断された場合には、終夜睡眠ポリグラフ検査が受けられる提携専門医療機関を紹介いたします。
閉塞性睡眠時無呼吸に対する主な治療法
睡眠時無呼吸の治療法には、主にマウスピース療法、CPAP療法、外科的治療があります。
それぞれの治療法には特徴があるため、患者さんの状態やご希望に応じて適切な方法を選択します。
軽症・中等症OSAに有効な治療:マウスピース療法(OA)
軽症から中等症の閉塞性睡眠時無呼吸、またいびきにお悩みの方に、最も有効で負担の少ない治療法の一つが、歯科で作製するマウスピース(スリープスプリントあるいはOAとも呼びます)を用いる方法です。
就寝時に上下の顎に専用のマウスピースを装着することで、下顎をわずかに前方に誘導し、重力で沈下しがちな舌の付け根(舌根)も同時に前へ引き出します。
これにより気道の閉塞を予防し、空気の通りをよくして呼吸をスムーズにします。
高輪歯科では、作製から治療、そして長期的なメンテナンスまで一貫して行います。
中等症〜重症の標準治療:CPAP療法
CPAP(シーパップ)療法は、持続陽圧呼吸療法とも呼ばれます。
鼻に装着したマスクから持続的に陽圧の空気を送り込み、物理的な圧力で気道が塞がるのを防ぐ治療法です。
主に中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群に対する標準的な治療法となっています。
重症度の高いケースにおいて、マウスピース治療と比較してより確実に気道を広げる効果が期待できます。
考慮事項
装置が比較的大きく持ち運びが不便であること、また、顔にマスクを装着することへの違和感や抵抗感を感じる方も少なくありません。
マウスピースを維持する歯がない、または重症度が高い場合は、連携の睡眠専門機関をご紹介し、CPAP療法で対応する場合があります。
外科的療法
外科的療法は、扁桃肥大やアデノイドなどが原因で気道が狭くなっているケースなど、解剖学的な形態の問題を改善し気道を広げることをおもな目的としています。
原因がはっきりしていて、手術によって効果が期待できる場合に限り選択肢となります。
考慮事項
手術には入院が必要となる場合があり、術後の疼痛や全身状態によっては合併症のリスクもあるため、全ての方に適応となるわけではありません。



