睡眠筋電計
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- STEP 1装置の貸し出しと説明
- ご来院時に、小型で軽量の筋電計センサーと記録装置、そして装着方法を丁寧にご説明します。
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- STEP 2ご自宅での装着
- 就寝前に、顎周辺の筋肉(咬筋など)の皮膚に小さな電極センサーを貼り付け、記録装置に接続するだけです。
煩わしい配線は最小限に抑えられています。
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- STEP 3普段通りに就寝
- 普段と同じ環境で、一晩または指定された期間、お休みいただきます。
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- STEP 4データ解析と結果説明
- 装置をご返却後、院⻑がデータを解析し、後日、あなただけのブラキシズムレポートとして結果を詳しくご説明します。
「歯ぎしり・噛みしめ」を放置していませんか?
高輪歯科が提供するオーラルスリープドック™において、「睡眠筋電計」は、歯ぎしり、食いしばり、顎の痛みといった、夜間の「口元の異常な活動」を科学的に捉える、極めて重要な検査です。
「朝起きると、なんだか顎がだるい…」
「頭痛や肩こりが慢性化しているけど、原因がわからない…」
「歯が削れてきた、詰め物がすぐに割れる…」
これらの症状は、もしかするとあなたが眠っている間に無意識に行っている「ブラキシズム」、すなわち歯ぎしりや噛みしめが原因かもしれません。
ブラキシズムは、睡眠中に体重の何倍もの力が顎の関節や歯にかかる現象です。
その力は、歯、顎関節、周囲の筋肉に多大なダメージを与え、単なる「音の問題」では済まされない、全身の健康問題につながります。
高輪歯科の睡眠筋電計検査は、この診療室では見えない夜間の異常な活動を客観的に「見える化」し、顎と歯を守るための最適な治療方針を決定するために不可欠な検査です。
あなたはブラキシズムのサインに気づいていますか?〜睡眠筋電計が強く推奨される方〜
多くの方が、「自分は歯ぎしりをしていない」と思い込んでいます。
しかし、ブラキシズムは無意識下で行われるため、実際に検査してみると多くの方が驚かれます。
特に、以下のような症状や口腔内のサインが気になる方は、睡眠筋電計による客観的な評価が強く推奨されます。
睡眠中の歯ぎしり音
異常な歯のすり減り
起床時の顎,筋肉の痛みや疲労感
起床時の頭痛
起床時に口が少ししか開かない
頬の内側の粘膜に噛みしめ線がついている
舌の側面に歯の圧痕がついている
筋電計の科学:診療室では見えない夜間のブラキシズムを「見える化」
高輪歯科で用いるウェアラブル筋電計は、診療室ではわかりにくい睡眠時のブラキシズム(歯ぎしり、噛みしめなど顎の動きと歯の接触に関連する障害)を客観的に「見える化」することができる機器です。
歯科医院に来ている間はリラックスしていても、ストレスが多いご自宅での睡眠中にこそ、ブラキシズムは活発になります。
この装置は、その最もリアルな状況を正確に捉えます。
筋電計でわかること(データ解析の視点)
筋電計は、顎を動かす筋肉(咬筋、側頭筋など)の活動によって発生する微弱な電気信号(筋電図:EMG)を記録します。
このデータから、以下の極めて重要な情報が明らかになります。
ブラキシズムの回数と頻度
一晩に何回、どれくらいの頻度で歯ぎしり・噛みしめが発生しているか。
力の強さ(筋活動レベル)
発生した力のピーク値や、持続的な力の平均値。日中の噛む力と比較して、どれほど異常な力が加わっているかを特定します。
持続時間
一回のブラキシズムがどれくらいの時間続いているか。
発生パターン
歯ぎしり(横方向の運動)なのか、噛みしめ(垂直方向の圧迫)なのか、またはその両方なのかを分析します。
睡眠段階との関連
ブラキシズムが浅い眠り(レム睡眠・ノンレム睡眠)のどの段階で多く発生しているかを調べます。
この客観的なデータこそが、経験や勘に頼るのではなく、科学的根拠(Evidence Based Medicine: EBM)に基づいた最適な治療計画を立案する基盤となります。
検査の進め方:ご自宅で簡単・安全
ウェアラブル筋電計は、患者様にご自宅にお持ち帰りいただき、普段通りにお休みいただく間に測定を行います。
筋電計データから導き出される治療方針
睡眠筋電計の検査は、単に「歯ぎしりをしているか」を調べるだけでなく、その後の治療の成功率と長期的な安定性を大きく左右する、治療方針の決定に不可欠な情報を提供します。
1. 口腔内装置(ナイトガード)の必要性とタイプ
力のレベルに基づいた判断
筋電計が異常に強い力を検出した場合、歯や顎関節の保護のために、ナイトガード(マウスピース)の作製が必須となります。
最適な設計の決定
歯ぎしりが主体なのか、噛みしめが主体なのか、力のパターンを分析することで、ソフトタイプ、ハードタイプ、または顎関節への負担を軽減するタイプなど、最適なナイトガードの種類と厚さを決定します。
2. インプラント治療の可否
インプラントの成功率への影響
インプラントは天然歯よりも過度な力に弱い特性があります。
筋電計で異常に強い噛みしめ力が計測された場合、インプラント体が早期に破折したり、インプラント周囲炎を引き起こすリスクが高まります。
治療計画への組み込み
筋電計の結果に基づき、インプラント治療前にナイトガードの常時使用を義務付けたり、インプラントの本数や位置、かぶせ物の設計を再考したりする判断材料となります。
3. 歯周病の悪化の要因
過剰な力と歯周組織の破壊
歯周病は細菌感染が主因ですが、歯周病にかかっている歯に過剰な噛みしめ力が加わると、歯を支える骨の破壊が加速します。
力のコントロール
筋電計でブラキシズムの程度を把握し、ナイトガードでその力を軽減することが、歯周病治療の成功にも不可欠です。
4. かぶせ物、入れ歯の設計、装着
補綴物の寿命
強いブラキシズムは、セラミックなどのかぶせ物や入れ歯の破損、または早期の脱離を引き起こします。
材料と構造の選択
筋電計のデータに基づき、より強度が高い材料の選択や、力を分散させるような噛み合わせ(咬合)の調整を行うことで、補綴物の寿命を延ばすことができます。
睡眠時ブラキシズムの具体的な治療法:高輪歯科のアプローチ
筋電計による精密な診断を経て、高輪歯科では、患者様のブラキシズムの程度、原因、ライフスタイルを考慮し、複数のアプローチを組み合わせた最適な治療を提供します。
ナイトガード(マウスピース)
最も一般的な治療法です。睡眠中に装着することで、以下の効果が期待されます。
歯の保護
歯同士の直接的な接触を防ぎ、すり減りや破折から歯を守ります。
顎関節の負担軽減
顎の位置を安定させ、関節への衝撃を緩和します。
力の分散
咬む力をマウスピース全体で受け止め、特定の歯や部位への集中を避けます。
ボトックス(薬物療法)
筋電計で極めて強い噛みしめ力が計測され、ナイトガードでも顎や筋肉の痛みが改善しない重症例に対しては、ボツリヌス毒素製剤(ボトックス)を用いた治療を検討する場合があります。
顎の筋肉(咬筋など)に注射することで、筋肉の過剰な働きを一時的に抑制し、ブラキシズムの力を弱める効果が期待されます。
顎の痛みや頭痛が深刻な場合に、顎への負担を急激に減らす目的で用いられます。
口腔漢方処方
ブラキシズムの原因の一つに、ストレスや自律神経の乱れが深く関わっています。
身体の状態を整え、睡眠の質を高めることで、夜間の異常な筋活動を鎮静化する目的で、漢方薬の処方を検討する場合があります。
身体に優しく、根本的な体質改善を目指す治療法の一つです。
