ナイトガード
- Q市販品ではだめですか?
- A市販のナイトガードは、熱で柔らかくして噛んで作るタイプ(マウスピース)が主流ですが、これは上下の歯がどこで接触しても良いという簡易的な構造です。
市販のデメリット
噛み合わせが精密に調整されていないため、顎関節に逆に負担をかけたり、ブラキシズムを誘発したりするリスクがあります。
高輪歯科のナイトガード
歯型を採取し、個々の顎の運動や噛み合わせに合わせて精密に作製するため、高い安全性と治療効果があります。 - Qいつまで使用すれば良いですか?
- Aブラキシズムは、ストレスや体調に左右される慢性的な習癖であり、完全に治癒することが難しいとされています。
歯や顎を保護する目的で、多くの場合は生涯にわたる継続的な使用が推奨されます。
ただし、顎関節症の治療が目的の場合は、症状の改善に伴い使用を一時的に中断できる場合もあります。 - Q装着時の違和感はありますか?
- A最初の数日は、唾液が多く出る、違和感がある、話にくいと感じることがありますが、ほとんどの方が1〜2週間程度で慣れます。
慣れることが治療の第一歩ですので、毎日継続して装着することが重要です。 - Qナイトガードのお手入れはどうすれば良いですか?
- Aナイトガードは毎晩使用するため、清潔に保つことが非常に重要です。
使用後
歯磨き粉を使用せず、研磨剤無配合のマウスピース⽤洗浄フォームで、柔らかいブラシや⼝腔ケアスポンジを使って、唾液や細菌を取り除きます。
定期的な洗浄
歯科医院にメンテナンスでご来院いただいたときにプロの洗浄により、より効果的に清潔さを保ちます。
保管
乾燥させた後、専用のケースに入れて保管してください。
ナイトガードとは?〜あなたの歯と顎を夜間の破壊から守る装置〜
ナイトガードとは、睡眠中の歯ぎしり(グラインディング)や食いしばり(クレンチング)といった睡眠時ブラキシズムから、歯や顎関節を保護するために使用するカスタムメイドのマウスピースです。
「朝起きると、顎が疲れている」
「歯がすり減ってきた」
「頭痛がする」
これらの症状は、眠っている間に、体重の数倍にもなる強大な力が歯と顎に加わっているサインです。
ナイトガードは、この無意識の「夜の破壊活動」を阻止し、歯の寿命と顎の健康を守るための、効果的で非侵襲的な「見えない盾」と言えるでしょう。
なぜナイトガードが必要なのか?
歯ぎしりや食いしばりの力は、非常に強く、長期間にわたると以下の深刻な問題を引き起こします。
歯のすり減り・破折
歯のエナメル質が削れ、最終的に歯が割れてしまうリスク。
顎関節症
顎の関節に炎症や負担がかかり、痛みや口が開きにくいといった症状。
詰め物・かぶせ物の破損
歯科治療の成果が過大な力で台無しになる。
ナイトガードは、これらの直接的なダメージを防ぐための物理的な緩衝材として機能します。
ナイトガードの仕組みと科学的根拠:なぜ歯を守れるのか
ナイトガードの役割は、単に歯を覆うことだけではありません。
その作製には、顎関節の運動学と咬合(噛み合わせ)の力学に基づいた、精密な科学的根拠があります。
1. 力を「分散」し「緩和」する役割
力の分散
歯ぎしりの際に特定の歯に集中していた強大な力を、ナイトガードの広い面で受け止め、歯列全体に均等に分散させます。
衝撃の吸収
装置の弾性が、硬い歯同士が直接ぶつかる際の衝撃や振動を吸収し、歯や顎の骨へのダメージを大幅に軽減します。
2. 異常な筋肉活動を「抑制」する役割
咬筋活動の鎮静化
ナイトガードは、上下の歯が理想的な位置で接触するように設計されているため、顎の筋肉が過度に緊張しすぎるのを防ぎます。
結果として、ブラキシズムの強さ(筋活動)を低下させる効果が、睡眠筋電計を用いた研究で確認されています。
クレンチング(食いしばり)の抑制
特にクレンチングが主体の方に対し、顎関節に負担をかけないよう設計されたナイトガードは、無意識の過緊張状態を緩和する効果が期待できます。
3. 顎関節を「保護」し「安静」に保つ役割
関節への負担軽減
顎関節は、ブラキシズムによる異常な力で炎症を起こしたり、関節円板(クッション)がズレたりします。
ナイトガードは、下顎を最も安定した位置(安定位)に誘導し、関節を休ませることで、炎症の鎮静化を促します。
高輪歯科のナイトガード作製のこだわり:オーダーメイドの精度
市販の簡易的なマウスピースと、歯科医院で作製するカスタムメイドのナイトガードには、大きな違いがあります。
高輪歯科では、患者様一人ひとりの口腔内と症状に合わせた「最高精度のオーダーメイド」にこだわります。
1. 精密な診断に基づく設計
当院では、ナイトガードの作製前に、睡眠筋電計検査や噛み合わせの詳細な診断を推奨しています。
力の解析
筋電計で測定されたブラキシズムの強さ、パターン(歯ぎしりか食いしばりか)、頻度といった客観的なデータに基づいて、必要な硬さ、厚さ、そしてカバースタイルを決定します。
顎関節の考慮
顎関節症の症状がある方には、関節の負担を最大限に軽減するため、下顎を最適な位置に誘導するタイプ(スプリント)を精密に設計します。
2. 素材とタイプの選択
ナイトガードには様々な素材とタイプがあり、症状や目的に応じて使い分けます。
| タイプ | 素材の特徴 | 主な目的と適応 |
|---|---|---|
ハードタイプ(硬質レジン) |
硬いプラスチック素材。耐久性が高い。 |
最も一般的。ブラキシズムの力が強い方、歯のすり減りが進行している方、顎関節症の治療に。 |
ソフトタイプ(軟性樹脂) |
柔らかいゴムのような素材。 |
装着時の違和感を最小限にしたい方、顎関節の痛みや筋⾁の緊張の強いときに有効。ただし、耐久性は低い。 |
バイラミナータイプ(ハイブリッド) |
内側はソフト、外側はハードの二層構造。 |
装着感の良さと耐久性を両立。中程度のブラキシズムの方に。 |
3. 治療後の定期的な調整とフォローアップ
ナイトガードは作製して終わりではありません。
使用を続けると、ブラキシズムの力によって装置自体が削れたり、噛み合わせが変わったりすることがあります。
高輪歯科では、定期的な来院をお願いし、以下の調整を行います。
装置のチェック
装置の破損や劣化、削れ具合をチェックします。
噛み合わせの再調整
ナイトガードの表面を削り、常に安定した噛み合わせを保つよう調整します。
顎関節の状態確認
顎関節の痛みが軽減しているかを確認し、必要に応じて装置の再設計を検討します。
ナイトガードに関するよくある疑問と注意点
